2020年 07月 27日
セルフビルドでお店をつくる~内装編
サブタイトルは「ブリコラージュな創造性とエンジニアリングな創造性」。
ふだんからぼくら道草屋夫婦は日常的にモノヅクリをしていて、
いわゆるモノを作ることから、ごはんだったり本だったり、
WEBサイトだったりを作りながら暮らしています。
二人で協力して作ることも多いわけですが、実は以外とよくぶつかり合う。
いや、案の定よくぶつかり合う。
これはどういうことなんだ、と考えてみるわけだけど、
どうも二人の創造性、作るためのスタイルというか、
姿勢みたいなものがだいぶ違うんじゃないか、と気づいた。
作ったものの好みとか、感性、スタイルではなくて、作るときの感覚の話です。
この違いを仮にこう名付けましょう。
●ブリコラージュな創造性の人:ブリさん、うちの奥さんはこちらのタイプ。
ブリコラージュというのは、「寄せ集めて作る」、
とか「組み合わせて作る」「その場合わせで作る」みたいな感じ。
●エンジニアリングな創造性の人:エンさん、ぼくはこちらのタイプ。
それに対してエンジニアリングというのは「設計して作る」とか
「0から計画して作る」みたいな感じ。
これは、ふだんのモノヅクリにも実はすごく反映されている。
ブリさんは、布を実際に当ててみたり組み合わせたりしながらイメージと作業が同時進行で、
服やらかばんなどを作る。
エンさんは、木のかけらを見ながら最終的にどういう形になるか、
そのための工程がイメージできたら作業開始となる。
デザインや企画を考えるときの頭の使い方にも違いがある。
ブリさんは、何か別のことをしながらひらめきが降りてくるのを待ってるかのように頭を働かせている。
エンさんはぐーっと、じーっとして自分の頭の中に入っていくようにものを考える。
ブリさんはあいつは何もせんとじっとしやがって、と思うし、
エンさんはあいつはほんとにちゃんと考えてるのか?と思う。
ブリさんは、目の前にないものをデザインしてと言われると困るし、
エンさんは、「これとこれ、どっちがあの人っぽい?」と言われるとわからなくて困る。
例えば今回みたいに建物を作るとなると、初めは当然その場には何もないわけです。
ただの地面。
ここからどんな広さにするか、窓の位置、どういった雰囲気を作るか、となると
ブリさんはまったくイメージができない。
「ちょっと一回建ててみて。そこから窓の位置とか考える」とか言われても、
エンさんとしては、「一回しか建てられへんわー!窓の位置とか変えられへんわー!」となる。
これは大変だ。
ブリさんが設計士さんに頼んで家を新築するときとか設計士さん困るだろうなー、と思う。
「こんな図やら模型で見せられてもわかりません。一回実物で見てみんと」とか
平気で言うのがブリさんだから。
ブリさんはとにかく実際に見てみないことには創造性を発揮できないので、
全体像ができるまでは興味を失うけど、
全体が見えてくると俄然生き生きとしてくる。
ぼくとしては、逆にトータルの雰囲気作りというものが全くわからないので、
全体ができてくると急にどうしたらいいかわからなくなる。
そういう意味ではお互いに役割分担ができているとも言えるし、補い合っているとも言える。
だからまあ「人の考え方というのは自分にはよくわからないけど、違うからこそベストなコンビ」と
思うことにしている。
という、諦めたのかのろけたのかよくわからないことになってきたところで、
ブリコラージュ系ばりばりのうちの奥さんのセルフビルド~内装編です。
まずはペンキ。入り口からまっ正面はまっ青にしたかったらしい。
それからタイルを貼っていきます。
タイルをあっちこっちに当ててみたり、
持っとけと言われて本人はちょっと離れて眺めてみたりしながら決めていきます。
一回貼ったタイルを気に入らないとか言いながらまた剥がしてる光景も見ました。
ぼくなんかからすると、うへぇーと思うけど。
珍しく初めからイメージがあったようで、スムーズに作業ができた入り口の足元。
↓
集めておいたシーガラスを持ってきたと思ったら、
ひび割れていた窓を、デザインの中に組み込んでしまった。
こういうところがブリコラージュタイプの感心するところ。
あるものと今ある状態から新しいなにかを創造すること。
まあ、なんにせよ楽しそうに作業をしているのはほんとによかった。
そんな感じでいよいよ大詰めも迫ってまいりました。
ここまでくると作業が進めば進むほど、お店らしさが増していく感じがたまらない。
次は家具作り。
ブリコラージュの奥さんのために死ぬほどダンボールをもらってきて、作るもののサイズと場所を確認する。
こうやって実際にその場でその大きさで確認しないと何もイメージできないらしい。
不便な人だな、とは思うけれど、やり方しだいではそんな不便さは乗り越えられる。
自分の創造性をつかんで、補う、工夫する、克服する。
モノヅクリな生き方をちょっと深く考えたこのごろでした。
by mitikusaya
| 2020-07-27 20:41
| 道草メモ
|
Comments(0)